石垣島・平久保半島東線にあったのは絶景とジャングル、そして・・・?(沖縄・石垣市)
|沖縄・石垣島の北部には細長い平久保半島があります。この平久保半島は西側に整備された県道206号線があって先端の平久保崎まで簡単に行けます。ところが平久保半島には高い山である安良岳があって、その反対側である東側にも「もうひとつ道路がある」という話を聞いたことがあります。どうやらその「もうひとつの道路」は自然がいっぱいで絶景らしく、前から気になっていました。
その道路を探すべくGoogleマップで見ても、その辺りに道らしきものはありません。
しかし、衛星写真だと蛇行している道らしきものが写っています。
どうやらこれが、平久保半島の東側にある「もうひとつの道路」のようです。
この「もうひとつの道路」は、石垣市道の平久保半島東線という道路だということが分かりました。調べるにつけ、さらに気になることが続々と出てきたのです。まずは、八重山毎日新聞のこの記事から。出典はこちらですが、いつまで公開されているか分からないので魚拓をとりました。
私が気になっている平久保半島東線は、どうやら通り抜けることができないようです。しかも地権者とのトラブルが原因ということで、これはますます気になる・・・。
この記事にもあるように、この道にはエコロードとして整備する計画があります。やっぱり、それだけ絶景と自然に恵まれているということなのでしょう。私が聞いた噂は本当のようです。石垣市の資料を調べると、具体的な計画案がありました。
この計画案の全容は、こちらにあります。私が気になっている平久保東線はこの青い線ですが、計画通りになるとさぞや美しい観光道路になることでしょう。しかし、現状はまるで違います。その状況は、この計画案に書かれている通りです。
ほほぅ、「未舗装」で「ほとんど利用されていません」とな。さらに他のページにも、こんなことが書かれています。
道路管理状況の面から利用できない状態・・・要するに「使い物にならん」ということですね。どうやら平久保半島東線は、とんでもない酷道・悪路のようです。しかも地権者とのトラブルがあって通り抜けできない・・・これはもう気になって仕方がありません。
というわけで、いざ石垣島へ!
平久保崎から東に進むと、いきなり行き止まり表示が
石垣島の北端、平久保崎から県道206号線には入らずに平久保集落の方面に向かいます。集落にあるバス停付近には、こんな標識が。
この先には平久保半島東線があるはずですが、行き止まりと表示されています。この標識だけを信じると、この先にある道路の存在すら知り得ないことになります。「生活道路としてほとんど使用されていない」のではなく、「使用してほしくない」ということなのでしょうか。
行き止まりの標識を無視して進むと、未舗装の道になります。
農道のような道を進むと、それはそれは美しい浜に行き当たります。
道はここで行き止まりになっているので、歩いて浜を見に行ってみましょう。
こんな美しい浜が何の整備もされず、ただそこにあるというのは、とても贅沢ですね。すでにここは平久保半島の東側なので、やはり絶景の噂は間違いなさそうです。
いよいよ平久保半島東線に進入
先ほどの浜は行き止まりになっているので、別の道から平久保半島東線を探しましょう。先ほどT字交差点になっていたところまで戻りました。右に行くと「ゴール!」とありますし牧場があるようなので左に進んだのですが、先ほどの浜は行き止まりでした。他に道がないので、この牧場の方向に進みます。
牧場方面に進むと、馬の向こうに真っすぐ伸びている道が見えます。位置関係から見て、これが平久保半島東線でしょうか。
牧場の私有地に入っていくような感覚なので若干気後れしますが、牧場主らしき人もこちらを全く気にしていない様子なので、そのまま牧場を通り抜けて進みます。
未舗装の道を進むと、道は2つに分かれます。
全くヒントがないので、まずは左に入ってみました。入ってみると、いきなり絶景に出会えます。確かにこれは、西側の県道206号線で見るものとは違います。
しかし、これを進むと行き止まりになります。Uターンして、先ほどの分かれ道に戻って右に進んでいきましょう。
おそらく正解の道を進みますが、「本当にこれで合ってる?」と心配になるような悪路が続きます。
しかし、時折景色が開けてくると素晴らしい絶景にも出会わせてくれます。石垣島は牧場が多い島ですが、この風景だけを見ていると北海道のようにも見えます。
北海道のような牧場風景に、コバルトブルーの海。これが見られるのは、八重山諸島ならではですね。
しかし絶景にウットリしていると、次なる悪路が攻めてきます。
史跡「多良間田」に遭遇
水たまり、超デコボコ、急勾配などの悪路をクリアし続けていると、「多良間田」という看板が出てきます。
この多良間田というのは、石垣島の東沖合にある多良間島の人たちが石垣島まで渡ってきて作った田んぼのことだそうです。今では耕作する人もなく荒れ地になっていますが、それが史跡となって残っています。
しかし、この看板の通り左に入っていこうにも全く入れる道はありません。下手に入るとハブもいそうなので、やめといた方がいいと思います。
それでは、さらに先に進みましょう。
悪路ではありますが、絶景と自然があってなかなか楽しい道のりです。ちなみにカーナビを見ると、牧場の中を走っていることになっています。
悪路続きなのは相変わらずですが、先に進んでいくとそれに加えて少しずつ植物の圧が強くなってきます。
最初は両側だけだったものが、上からも攻めてくるようになります。
どんどん茂みは深くなり、ジャングルの中を走るアトラクションが始まります。
この日は水が少なめでしたが、洗い越しも登場します。
次のアトラクションは、「大岩の門番」です。今にも転がって来そうな恐怖を感じるほどの大岩ですが、車を降りて眺めてみると少し偉大な感じすらしてきます。
この大岩に差し掛かった時に、対向車が来ました。男性一人が乗るレンタカーだったので、私と同じように平久保半島の東側を走破しにきた好事家だと思われます。離合する際に大岩側に寄り過ぎたのか、落ちている石にガリっと当ててしまったようでした。運転している好事家氏は気づいていない感じでしたが、あれはレンタカー屋とモメるでしょうね。
それを他人事のように思っていた私でしたが、それが自分にも降りかかってくることになるのでした(後述)。
ジャングルの先にあった非情な展開とは
ここから先は、ひたすらジャングルです。両側と上から飛び出している植物をかき分けながらの道のりです。
カリカリ、キーキー、ガサガサ・・・オーディオの音が聞こえないほどのノイズとも戦いながら、先に進んでいきます。
さすがにこれだけ進んだし、そろそろジャングル道も終わりかな・・・と思った時に、ストーリーは急展開を迎えました。
平久保半島東線が通行不可になっている新聞記事をご紹介しましたが、どうやらそのポイントに到達したようです。新聞記事は通行不可区間の南側入口を撮影したものでしたが、ここはその反対側である北側入口ということのようです。この坂道の上には牧場が広がっているようでした。
カーナビを見ると、この先が放牧場であることが確認できます。相変わらず道は全く表示されていませんw
さぁ、ここでまた新たな問題です。
辛うじてクルマ一台が通れる道幅の悪路で、通せんぼを食らってしまいました。引き返そうにも、Uターンできる場所なんてありません。後ろを見ると、こんな感じ。
どうにか少しだけ道幅があるところを探して、10回以上切り返してUターンを完了しました。
この時に道の両側にある茂みに何度も入ったので、これも良くなかったようです(後述)。
どうにかUターンをして、今度は来た道を帰ります。
帰り道にも絶景が
ジャングルを抜けると、相変わらずの絶景がそこにあります。
北に向いているので、今度は左側に山が見えます。往路では気づきませんでしたが、こんな美しい風景もありました。
悪路続きは相変わらずなので、早く元に道に戻りたい・・・と思いながら運転すること20分程度。ようやく、この道に入ってきた時にあった牧場が見えてきました。
先ほど見た牧場主らしき人は、昼寝中でしたw
まだ未舗装道路ですが、ジャングルの悪路から抜けてくるとこんなにも走りやすいのかと感じました。
平久保半島からの帰りは、県道206号線で。山の向こうにはとんでもない酷道とジャングル、そして行き止まりがあるとは夢にも思わない道ですね。
総括
石垣島の平久保半島には東側にも道があって、そこは絶景と自然の宝庫らしい・・・この噂を聞きつけたことに始まった今回の探訪は、確かに絶景と自然と出会えたものの、その代償も決して安くはありませんでした。「生活道路としてほとんど使用されていない」と行政も見なしているほどの道路がどんなものか、改めて実感させられることとなりました。
この探訪に使ったレンタカーには、ジャングルとの格闘でできたいくつかの傷が・・・。植物の攻撃力を甘く見てはいけません。研磨修繕する必要があるとのことで、5000円の弁償金が発生したのでしたw この探訪に行かれる際には、最初から傷だらけの軽自動車を使用することをオススメします。
以上、平久保半島東線の調査および探訪レポートでした。