いよいよ見納め?廃墟マニアの聖地・軍艦島上陸レポート(長崎・端島)
|長崎県の離島であり、今や無人島となっている端島こと「軍艦島」。島が丸ごと廃墟という、廃墟マニアにとっては聖地のようなスポットです。廃墟だけに劣化が激しく、何度も崩落をして現在の姿を辛うじて留めています。しかし、この劣化がさらに進むと危険だということで上陸そのものが無理になるかも知れないと言われています。すでに軍艦島クルーズツアーに申し込む以外に上陸の方法はなく、上陸してからもかなり厳しい行動の制限があります。いよいよ見納めが近くなっているということで、クルーズツアーに申し込んで上陸してきましたので、そのレポートです。
軍艦島クルーズの申し込みは前日までに
長崎港周辺には、いくつかの船会社が軍艦島クルーズを催行しています。注意したいのは、とても人気なので遅くとも前日までに申し込みをしておかないと満席で乗れない可能性があることです。私が行ったのは平日だったので、前日の申し込みで席を確保できました。お値段は見学利用券と合わせて2,000円くらいでした。
それでは、船に乗って長崎港から出発です。ご覧のように、満員御礼です。
長崎港には世界レベルの造船産業があります。このドックは世界遺産に登録されているそうです。
世界有数の港町でもあるので、豪華客船も停泊中です。美しいですね。
長崎県は九州の西端で、実は国境を接するような位置関係にあります。海の警備を担う、海上保安庁の基地もちゃんとあります。
いよいよ軍艦島が見えてきた
長崎港の風景を楽しんでいると、しばらく何も見えない航海が続きます。
すると・・・
いよいよ軍艦島が見えてきました。遠くから見ると、確かに巨大な軍艦が停泊しているように見えます。
近づいてくると、だんだん廃墟らしき建物を確認できるようになってきました。他にも軍艦島クルーズに来ている船が見えますね。
さぁ、いよいよ接岸です!
船の反対側から見ると、こんな感じ。
まだまだしっかりと岸壁が機能していますね。さすが当時の最先端の技術が投入された「作品」です。
軍艦島に上陸
船から降りて上陸すると、早くもオイシイ廃墟が続々と!何の建物だったのかを偲ぶことはもうできませんが、時代を感じさせる建築であることはよく分かります。
島内では、歩けるところが制限されています。遊歩道が整備されていて、その中でのみ移動可能です。
ご覧のように、この日は雨でした。雨でも傘をさすのは禁止なので、全員がレインコートでの上陸です。
さらに、島内の廃墟を見て回りましょう。建物の劣化が進んでいることと、植物の進出が進んでいることが見て取れます。
さらに時間が経つと、ラピュタのようになっていくことでしょう。
島内には小高い山があるのですが、その山も「軍艦」の一部です。
こちらから見ても、山が見事な軍艦ぶりを見せてくれています。人工的な壁ですが、まだまだ崩れてきそうには見えませんね。
でもこれが崩れてしまうと大惨事なので、それも見納めが近づいている理由なんだと思います。
この廃墟なんか、ヨーロッパの古代遺跡みたいですね。
今も進む建物の劣化
階段だけ辛うじて残っていますが、これも間もなく崩れ落ちてしまうでしょう。
どんどん島内の崩壊が進んでいることが、こういうところを見るとリアルに感じます。もともとはこの付近にも人が入れたようですが、今はもちろん立入禁止です。
島内最強の見どころに到着!
立入可能区域は袋小路になっているのですが、その終点に行くと見えるのが、この廃墟群です。当時は日本最高の高層建築とされていたアパートの廃墟です。カッコいい!
もう少しズームにして撮ってみました。
美しい形を残してはいますが、今にも崩れそうな脆さも感じます。
何か公共スペースだったんでしょうか、広々とした建物です。その奥に見えている丘の上の建物も気になります。
先ほどの廃墟の左をさらに見ていくと、こんな感じです。この建物の左端は、もう海です。
これは海による浸食でこうなったのか、もともとこうだったのか知る由はありません。
下から海風がヒューヒューと入ってきて気持ち良かったです。
軍艦島から、九州本土側を眺めた風景です。天気が悪いのでよく見えませんが、隣の陸地が割と近くに見えます。
廃墟探索を終えて、いよいよ離島
いよいよ、島を離れる時が来ました。
再度乗ってきた船に乗って、長崎港に戻ります。
さようなら、軍艦島こと端島。
次に来ることができるかどうか分からないので、ひとまずお別れです。
総括
島全体が当時の最先端の技術で埋め尽くされていたものが、今は巨大な廃墟。これほど数奇な運命をたどった島というのはそうそうないと思います。何やら某国が被害者意識の象徴にしているようですが、そんなこととは全く関係なく、この軍艦島は島全体が時間をかけて創られたアートです。しかも年々劣化が進んでおり廃墟の味わいは増しているのですが、廃墟の運命として近づくべからずという制限は強くなってきています。今はまだ辛うじて上陸できますが、やがてそれもできなくなる日が来るでしょう。
単に廃墟を楽しむということに加えて、当時の島の人たちの生活に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。