瀬戸内海に浮かぶ元リゾートアイランド「鴻島」の別荘廃墟群(岡山・鴻島)

瀬戸内海には数えきれないほどの島がありますが、岡山県備前市(旧日生町)には日生諸島があります。その日生諸島のひとつ、鴻島はかつてリゾートアイランドとして別荘開発が進み、バブル景気を謳歌していました。しかしその後、別荘は次々と主を失い、朽ちていくままの廃墟になったり、怪しげな団体が住みついたりと、バブル期とは全く違う様相を見せています。
もちろん、今も現役の別荘もあります。また、新たに移り住んできた人もいるようですが、島の衰退は変わりません。廃墟化した別荘群が倒壊してしまうとこの景色も見れなくなるので、2019年の夏に探訪をしてきたレポートをお届けします。

まずは、鴻島の場所から確認

鴻島は、ここにあります。

瀬戸内海といっても本州にほど近いところにあるので、日生港から船で15分ほどで上陸することができます。
船が鴻島に近づいてくると、たくさんの戸建て住宅のような建物が見えます。周辺の島にはない風景なので、これは鴻島の大きな特徴です。

こうやってポツポツと建っている建物はほとんど別荘で、その中の大半が廃墟です。

島に上陸するとのどかな離島の風景が広がる

鴻島にはいくつか桟橋がありますが、定期船が着く桟橋は1つだけです。他の桟橋は別荘所有者などが個人的に利用している浮桟橋です。
島に上陸すると、看板がお出迎え。

定期船の待合所もあります。ほとんど使っている人はいませんが。

桟橋から瀬戸内海を望むと、のどかな風景が広がっています。

漁船らしき船も見えますが、漁港という様相はありません。
瀬戸内海では牡蠣の養殖が盛んなので、その関係者の船かもしれません。

島内に公道なし、車検もナンバーもなし

鴻島の島内には、公道がありません。別荘開発をした会社が道路を作ったそうで、その名残のような道路があるだけです。公道ではないので無免許で走っても問題ないですし、中にはナンバーがついていないクルマも走ってたりします。
そんな鴻島の道路をご案内しましょう。

割とマシな道路なのでは?と思われるかもしれませんが、比較的通行があるところだけです。ちなみにここに並んでいる別荘も半分以上が廃墟です。

こんな感じで、舗装されていない道路も結構あります。

急斜面が多い島なので、斜面に建っている別荘も多めです。この別荘も廃墟ですが、階段を登ってみようという気になれないほど朽ち果てていました。

かつてはこのテラスみたいな足場から別荘に出入りしていたんでしょうけど、もうその床が抜けてしまっているので、出入り不能です。
さらにどんどん、島内の道を探訪してみましょう。

ここも割ときれいな状態ですね。ちなみにここは鹿の通り道でもあるので、私も何度か鹿に遭遇しました。
どんどん坂道を登っていくと、島内を軽く一望できるスポットに来ました。ここに手前の別荘は現役っぽいですが、長らく誰も来ていないのは明白でした。

怪しげな団体が入居(占拠?)していた元保養所

島内の高いところに登ってくると、かつての保養所があります。私の記憶が正しければ「アサヒビール」と書いていたような気がします。この建物にはしばらく、怪しげな団体が居ついていました。入居していたのか不法占拠なのかは謎ですが、「近づいたら殺す」的な張り紙もあったので、島民はここを迂回していたそうです。

ご覧のように今はその怪しげな人たちすらいないので、再び廃墟になったのでした。
ところで、 このように見るからにきれいな道路もあります。

中にこういう道路があるところは、その先に誰かがいます。この道を先に進むと居住者の家や畑に行きつくので、その人が整備したものと思われます。

廃墟化が進む道路は、もはや通行不能

その先に誰もいないところは道路も放置されるので、自然の赴くままに朽ち果てています。もはや通行不能になっているところもあります。

この道はもはや、轍が辛うじて残っている程度です。辛うじて轍があるので、この道路はまだ通る人がいるのだと思います。

落ち葉が道路を敷きつめていて、いい感じですねー。誰も掃除する人がいないので、何年分も積もっています。

ここでは木の枝が行く先を阻んでいます。歩きであれば突破できますが、クルマでは不可能です。

先ほどのポイントを突破すると、やはり当然ながら腐海に沈みかけている風景が。この先の道路がどうなっているかは、もう想像つきますよね。

強引に先を進むと、行き止まりでしたw
もしかすると先に道があったのかもしれませんが、すでに判別不能でした。ここには別荘地を造成した痕跡もないので、開発が途中で止まってしまったのかもしれません。

島の反対側には美しい瀬戸内の風景が

腐海に沈みかけている道を乗り越えて島の反対側にいくと、また別の風景に出会うことができます。先ほどまでの展望をした翌日の朝に行ってくると、実に美しい風景がありました。

このあたりは道路がきれいですが、ここに桟橋からクルマで来るのはおそらく難しいので、こちら側だけで移動する人がいるのかもしれません。

となりの島がすぐ近くに見えています。その間には牡蠣養殖の筏がたくさん並んでいるので、瀬戸内の風情を感じさせてくれます。

そんな風景を楽しみながら先を進むも、この道も倒壊した木にふさがれていたので、袋小路でした。
海側ではなく島内側を見ると、プールがあった別荘の廃墟が見えます。建物はすでになく、プールだけが辛うじて見えたところに哀愁を感じたのでした。

夕方の鴻島は絶景ポイントの宝庫

この探訪は朝だったので生き生きとした瀬戸内の風景を楽しめましたが、これが夕方になると風景が一変します。

どうですか?美しいですね!
あちこちがふさがれている道を歩いて、蜂の大群に威嚇されながらやってきた者だけが楽しめる、瀬戸内の夕焼けでした。

鴻島はさらに廃墟化が進む

この記事の写真は2019年に撮ったものですが、私が初めて鴻島と出会ったのはさらに10年ほど前です。その頃と比べるとずいぶん廃墟化が進んだと感じるので、新しく移住してくる人がいたとしても島全体の廃墟化は止まらないでしょう。
今回は辛うじて通れた道もどんどんふさがれていくので、まだ探訪ができるうちにとも思って記事にしました。探訪に行かれる方は、早めに行かれることと、夏であっても軽装はやめておくことをおすすめします。

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