衰退が止まらない鉄鋼の街、室蘭中心部の廃墟探訪レポート(北海道・室蘭市)

「北海道の室蘭中心部がえらいことになってる」、そんな噂は以前から聞いていました。室蘭というと、かつては鉄鋼業で栄えた企業城下町です。交通アクセスが決していいとはいえない場所ですが、大企業の巨大な工場が立地したことで人が集まり、産業が栄え、街も栄えました。しかし今ではそれが衰退し、人口も減少の一途をたどっています。

それに伴って室蘭駅前の中心部がほとんど廃墟になっているそうで、これは現地に行ってみるしかないということで実際に行ってきました。今回はそのレポートです。

東日本最大の吊り橋「白鳥大橋」から室蘭に入る

室蘭は半島の先っちょにあるような街なので、半島の付け根だけでなく北側から橋で入ることもできます。その橋が白鳥大橋で、何でも東日本最大の吊り橋だそうです。橋からは室蘭の街だけでなく巨大な工場も眺めることができるので、ここから室蘭入りするほうが楽しいと思います。

車窓から左を見ると、室蘭の栄光を支えた巨大な工場を見ることができます。

白鳥大橋を降りる途中も、橋の向こうに巨大な工場群が見えますね。

これだけ大きな工場があっても、その栄光は過去のものとなってしまいました。
室蘭駅に向かうと、途中に観光案内所とSLがあります。SLは結構保存状態が良く、北海道の栄光を垣間見ることができます。

室蘭駅に到着、ここから中心部探訪の始まり

室蘭の中心繁華街は、室蘭駅前に広がっています。まずは駐車場を探しがてら室蘭駅を目指しました。室蘭駅は支線の終点なので、建物はきれいで新しくてもどこか駅も寂れた感じが漂います。このあたりは稚内駅と似たような印象があります。

路線図を見ても、室蘭が支線の終点であることがよくわかります。
JR北海道はどんどん路線を廃止しているので、昔はもっと路線が賑やかだったのかな。

室蘭駅前に、広域の案内図があります。この拡大図みたいになっているところが、今回探訪する室蘭の中心繁華街です。

その室蘭中心部の案内板もありました。これだけを見ると賑やかな商店街に見えますが、これから現実を見ることになります。

室蘭の中心繁華街に入った瞬間から廃墟感と「時間が止まった感」が漂う

それでは、室蘭の中心繁華街に入ってみましょう。ここから先は街で見かけたものを種類別にレポートしていきます。まずは中心の商店街とパチンコ屋、ショッピングセンター、スナックビルなどの廃墟を探訪してみましょう。
駅前のロータリーから中心繁華街に入ると、いきなりこの風景です。

この通りは、営業中の店が全くありませんでした。
後でレポートしていきますが、崩壊が始まっている建物もあります。
そしてこれは、パチンコ屋の廃墟です。結構きれいなまま残っているので、閉店してからあまり時間が経っていないのでしょうか。

この「中央娯楽」の向かいにも、パチンコ屋の廃墟があります。
こちらはパチンコ屋だけでなく、スナックビルも併設していた建物のようです。

この「IDOL」というビルの向かって右がパチンコ屋(スロ専?)の跡地で、向かって左は「地下飲食街」の廃墟です。それぞれ近くで見てみましょう。まずは、パチンコ屋。

次に、地下飲食街。
他のスナックビルでも同じですが、店名やロゴのセンスに昭和を感じますね。

中心の商店街も今は上質なシャッター通り

中心の商店街には、ショッピングセンターもあります。ショッピングセンターを中心に、かつての栄光を探訪していきましょう。

辛うじて営業している店はありますが、ほとんどが閉店済みです。これが全部営業してたら、さぞや賑やかな商店街やったやろな・・・と妄想をかきたてます。
何でも、この商店街にはかつてアーケードがあったそうです。かつて営業していた頃は何の店やったのか?とあれこれ想像するも、その答えは永久にわかりません。

室蘭廃墟の4番打者、ショッピングセンター登場

室蘭中心部の中でも、絶対に見逃せないのがショッピングセンターの廃墟です。いくつかあるので、1つずつ紹介しましょう。
1つめは、「ムロランコア」。キャッチコピーが「若さとよろこびの中心」!相当なレジャービルだったようですが、今は「ラ」の字が崩壊寸前です。

閉まったままになっているシャッターには、伝説のキャッチコピー「若さのよろこびの中心」を辛うじて読み取れます。

建物の裏側に回ると、反対側のシャッターにも伝説のキャッチコピーが。

「CATS EYE」というナイトスポットがあったようです。看板の感じからして大きな店やったんかなと想像力をかきたてます。

次は「HIRAKAWA」というショッピングセンターです。「ムロランコア」と同じ商店街に面しています。

このビルは買い物客向けのファッションビルだったようです。

辛うじて営業している店がありますね。2階に何かあるみたいなので、看板を見てみましょう。

呉服屋さんみたいですね。この店もいつまで営業を続けられるのやら・・・。
このビルにも飲食ゾーンがあります。

「飲食センター」というカッコいいロゴの下に、これまた昭和を感じさせるカッコいい飲み屋のロゴが並んでいます。当然どの店も閉店済みで、このドアは開きません。

かつての飲み屋街も今では廃墟の宝庫

ここまで紹介してきたショッピングセンターや娯楽ビルにもスナックらしき飲み屋が多数入っていたようですが、路面にもたくさんの飲み屋があったようです。ここからは、かつての歓楽街を探訪してみましょう。

ここはビアホールだったようです。何屋かもわからないような廃墟も多い中で、保存状態がいい廃墟です。

狭い路地にこうした廃墟がたくさんあるので、くまなく裏路地を探訪していきます。

この「ランランタウン」は中央通りにあった「IDOL」というパチンコ屋のあるビル内のスナック街です。
「スナックシドニー」をはじめ、店の面々も同じであることにお気づきでしょうか。

廃墟の保存状態が悪いと、原型を留めていなかったり何屋だったのか分からなくなったりします。

本当に細かい路地にびっしりと小さな飲食店があります。
それだけ需要があったということですね。

今も残るアーケード街も昭和のまま時間が止まった空気が流れる

中心繁華街の北側には、今もアーケードが残る商店街があります。ここも見どころいっぱいなので、次はこちらを探訪してみましょう。

パッと見は立派なアーケードもありますが、ここにある建物はほとんどが閉店済みで廃墟化が進んでいます。それは、商店街を歩いてみるとすぐに分かります。

上下2枚の写真で照明がついているのは、1軒ずつしかありません。
実際にアーケードの中を歩いてみると、さらに昭和感がアップします。

かつての銀行?と思しき建物も今は完全に廃墟となりました。

ここにも元銀行があります。わかりますか?

正解は、向かって左の建物です。
北海道銀行らしき文字を辛うじて読み取ることができます。

アーケードを歩いていると気づきにくいですが、建物の崩壊が進んでいるところも結構あります。
このネットがないとアーケードにガラスが降り注ぐかも。

このアーケードには、それぞれの店の看板が付けられています。
これがとても昭和感たっぷりで見どころなんですが、ほとんどの店はもうありません。あるのは看板だけです。

廃墟探訪をしていると崩壊している建物を見ることは多いですが、室蘭もその例外ではありません。
場所によっては危険なところもあって、通れない道まであります。

この建物はよく見ると内部で崩壊が進んでいるようです。
次の建物は、まもなく建物自体が倒壊してしまうかもしれません。

プリンスホテルの横にある道ですら、危険なので通行禁止。
室蘭中心部で数少ない健在の建物であっても、廃墟と隣り合わせなのです。

「元気な室蘭」もお届けしましょう

ここまで廃墟ばかりで寂しい風景の連続でしたが、最後に「元気な室蘭」も紹介しましょう。
1つめは、「楽しま横丁」です。

地元の有志が期間限定でお楽しみスポットを作って賑わいの創出にチャレンジしている空間です。
2022年の3月までの期間限定なのでそれほど長く営業しているわけではありませんが、活動の成果によっては今後も続くかもしれません。
室蘭で初めて前向きなムードを感じるスポットでした。

次は、室蘭名物カレーラーメンの人気店「味の大王」です。この店の存在を知るまで室蘭の名物がカレーラーメンであることを知らんかったのですが、ここはとても繁盛していました。

実際に食べてみると、確かにめっちゃ美味でした。
単にラーメンのスープがカレーになっているだけかと思いましたが、カレーライスとは違った味わいが魅力的です。

室蘭はかなりのカレーラーメン推しのようです。
このことを初めて知った方は、ぜひお見知りおきください。

しかし、そんな人気店であっても隣のビルの上半分は崩壊寸前の廃墟なのでした。

総括

「室蘭の中心部がえらいことになってる」という噂を確かめに行ったわけですが、事前にネットで情報を調べていたのである程度の目星はつけていました。そのうえで現地に行ってみたものの、想像を絶する廃墟化に息を吞む風景の連続でした。
かつては大いに栄えた街だけに、それが寂れてしまうと落差が大きく、栄光の面影があちこちに残ったままです。廃墟マニアの方はとても堪能できる街だと思いますが、予想以上に廃墟化が進んでいるので現地探訪をするなら早めに行くことをおすすめします。実際に私も見たいと思っていた建物がいくつか解体済みでした。崩壊が進んでいる建物も多いので、10年後には更地ばかりになっている可能性もあります。
札幌の一人勝ち状態になっている北海道では、同様の風景をあちこちで見ることができます。ここからV字回復する見通しが全く立たない以上、これからも室蘭を含む北海道各地の廃墟化は進むでしょう。時間が止まったままになっている昭和の風景を写真と記憶に残して、室蘭レポートを締めくくりたいと思います。

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